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『聖書考察』12使徒イスカリオテ・ユダの可能性

こんにちは、来栖川クリスです。

今回は、「イスカリオテ・ユダ」についての考察回です。

私の主観に基づく考えが書かれていますことを、予めご了承願います。

本記事は、イスカリオテ・ユダという人物に疑問を覚えている、聖書中級者の方必見です。

12使徒ユダについてのモヤモヤを、清算する内容となっておりますので、スッキリしていない方、是非ご利用ください。

目次

  1. 使徒集団におけるユダの位置づけを考える
  2. イスカリオテ・ユダの救済を考える
  3. キリストが裏切り者ユダを使徒に任命した理由を考える 

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イスカリオテ・ユダって何者?

本論に入る前に、イスカリオテ・ユダとは何者かを、ザっと説明します。

 

彼の正式名称は「イスカリオテ・シモンの子ユダ」です(ヨハ6-71)。

 

ユダという名前は、「神に感謝する」「神をほめたたえる」という意味を持ちます。

 

イスカリオテと言うのは「カリオテ出身の人」という意味であり、「カリオテ」は、イスラエル南部、イスラエル12部族の、ユダ部族の町を指す言葉です(ヨシュ15-25)。

 

イスラエルの中でカリオテは割と都会なので、ユダはエリート意識があったものと類推されています。

 

他の使徒11人は、全員ガリラヤ出身であり、田舎者であったのに対して、ユダは所謂シティボーイでした。

 

また、彼は使徒集団の金庫番でした(ヨハ12-6,13-29)。おそらく資産運用能力にたけていたものと考えられます。

 

当時の習慣では、ラビは弟子集団の財布を、ある適任者一人を選抜して全額を委ねるのが一般的であったようです。

 

もちろんその役割を担うものは、人格的に最も信頼されている者でした。

 

しかし、皆さんご存じの通り、ユダは自らの師であるイエスを裏切ります。

 

何故キリストは、自らの宣教活動の生命線である金入れをユダに委ねたのか(ユダだけに)。

 

その点が一番モヤモヤしますよね。

 

考察

エスは初めからユダが裏切り者であることを知っていたようです(ヨハ6-64、同70~71)。

 

知っていながら、彼を重要なポストに置くことに、声なきメッセージがあると私は考えます。

 

様々な観点からの考察を試みますが、すべて私の憶測の域を出ません。しかし、考える価値は十分にあると思います。

    

単に、聖書の不明瞭なところに光を当てて考えを整理すること以上に、人を生かす教訓が何か落ちているとみえるからです。
     

では、キリストは何故ユダを選抜したのか、様々な可能性から考えてみたいと思います。

 

1.使徒集団におけるユダの位置づけを考える

   

イスカリオテ・ユダの謎を語る上で外せないのが、イエスの彼への優遇でしょう。

 

ユダは使徒の中で割合高い位置付けを与えられていたものと考えられます。


つまり、キリストは裏切ると分かっていながら、弟子たちの中で、あえてある程度の権限を与えていた。これもまた謎ですよね。

    
序文で紹介したように、都会出身で金銭のマネジメントにたけていたことから、大変能力があった人物と伺えます。

 

エスは自らの教えを流布する為に、様々な地を巡回しながら伝道していました。

     

その際、重要なのが金庫番です。その地その地でどのくらいの金が必要なのか、衣食住を計算して、算出なければなりません。

 

またユダヤ人は、祭りの時期は聖地エルサレムに上らなければならず、通行税、神殿税、生贄の確保など、様々なことに気を配らなければなりませんでした。

 

我々も旅行に行く時は、ある程度所持金を決めて、その範囲内で活動すると思いますが、古代も同じです。


使徒達はイエスに従うときに職を捨て、すべてを手放してきたので、寄付などがあったとはいえ、慢性的に金欠状態だったでしょう。

 

エスの伝道旅行を管理したユダの能力は、非常に有益であったと考えられます。当然優遇されるべきです。

      

しかし彼の地位が最も強調されているのは、所謂「最後の晩餐」の場面です(ヨハ13章)。ユダは何とNO.2の席についていたものと考えられています。

 

少なくともかなり上席に付いていたでしょう。

 

エスは、晩餐会の途中、何度もこの中に自分を売り渡す者がいることを予告していました(ヨハ13-10,18、21)。

 

その際、なかなか誰なのかに言及しないのにしびれを切らして、使徒達は心を騒がせていました(ヨハ13-22)。

 

末席に座っていたシモン・ペテロが、最も上席についていたヨハネ(ヨハ13-23)に、誰が裏切り者なのかを聞くように指示します(ヨハ13-24)。

 

ヨハネがイエスに質問すると、イエスはなぜかユダに給仕し始めます(ヨハ13-26)。

 

そして彼に「あなたがしようとしていることを、すぐしなさい。」と言いました。

 

ユダは立って、晩餐を後にしました。

 

彼は、最後の晩餐までにはキリストを銀貨30枚で敵対者に売り渡す契約をしていましたが(ルカ22-3~6)、この値は、古代の奴隷を贖う値段であり(出21-32)、最大の侮辱でした。

 

対してイエスは、パンを酢に浸してユダに渡します。この給仕は、当時主賓が客人に、食卓の席で行う最大の友情のしるしでした。

 

この時のユダの心中は如何ほどであったでしょう。誰も知るよしもありません。

 

これは単に、罪人の友として来たメシアとしてのデモンストレーションではないと思います。

 

席順を決めるのは基本的には主賓であり、この場面ではイエスがそれに当たります。

 

そして、イエスはユダを裏切り者だと知りつつも、友情のしるしを示す為に給仕をしました。

 

皮肉にも、ユダに心から裏切りを思いとどまらせる方法は、これしかなかったのです。

 

初めからユダが裏切ると知り、最上のかたちで自分の思いを伝えたうえで、裏切りを警告するこの場面を見越していたとなると、自らの近くに置くしかない。

 

つまり、ユダはイエスのすぐ隣についていた可能性が最も高いのです。

   

エスは彼が裏切った前も後も、一貫して何かを期待していました。

 

その先に、ユダに高い地位が与えられていた精神的理由が、或いは、彼の真価があったのかもしれません。

 

2.イスカリオテ・ユダの救済を考える

裏切り者ユダの結末は、自殺です。彼はイエスが死刑判決になったことを激しく後悔し、自責の念に駆られたようです。

 

そして罪責感を緩和する為か、イエスの敵対者たちに銀貨30枚を返却しました。

 

しかし、彼らは金を受け取らなかったので、神殿の賽銭箱に投げ込み、外で首を吊って死にました(マタ27-3~4)。
          

では、彼の魂は救済されたのでしょうか。ポイントは「死で死を償おうとした」ことです。

    
キリストは一貫して自力救済を否定しています。

 

メシア(救い主)として、神の国の福音即ち、アブラハム以来、旧約聖書の時代からユダヤ人が待望していた、御国の到来を宣言し、その民としてふさわしく罪の悔い改めを宣べ伝えました。

 

しかし、イエスの伝道の本質は、恵みと信仰による救いです。

 

あくまでも救いは神にありとしました。人には人を救う資格などありません。ましてや自分の魂を救うなど連木で腹を切るようなものです。

 

当時、ユダヤ人であれば自動的に御国、即ちユートピアに入れると説いていた宗教指導者たちに対して真っ向から反論し、善行による救いではなく、キリストを救い主とする狭き門から入ることを教えました。

 

ユダは弟子として、イエスの伝道を間近で聞きながら、その内容を理解できませんでした。


いや、理解しようとしなかったという方が厳密なのかもしれません。
      
ユダにはを裏切ってからもチャンスがありました。

 

実に首にロープをかけて、縊死するその瞬間までキリストを救いとする機会が与えられていたのです。

 

エスはおそらく自分の元に戻ってくるのを待っていたと思います。

 

それがユダに期待していたことの一つなのかもしれません。

 

しかし、彼は最後まで自分で自分を救おうと努めました。

 

その様は、正に私たちの姿そのままです。

 

3.キリストが裏切りものユダを使徒に任命した理由を考える

私は、エスを裏切ってからが、彼の使徒としての本当の価値があったのではないかと考えています。

 

何故なら、彼の取った行動が、悪いことであったとしてもイエスをメシアであると指し示していたからです。

  
ユダは銀貨30枚でイエスを売り渡しましたが、これは旧約聖書にメシアを指し示すものとして予め預言されていたことであります(ゼカ11-11~12)。

 

また、祭司長たちはユダの投げ込こんだ金を、神殿で使用できない穢れたものであるとして、陶器師の畑を買い、旅人の共同墓地を購入する代金にあてました(マタ27-5~7)。

 

これもまたメシア預言の成就です(ゼカ11-13)。

 

また彼自身が旧約の登場人物に非常に類似しています。

 

創世記37章では、ヤコブの4男ユダが、父に最も愛されていたヨセフを奴隷として売りました(創37-26~28)。

 

この時の値は銀貨20枚でしたが、族長時代の成人男性の奴隷一人分のレートであったとされています。

 

そしてヨセフはイエスの予型です。

 

それに関しては、ステパノのサンヘドリンでのメッセージに言及されています。

 

彼は、ユダを含めた12の族長がヨセフを妬み  エジプトに売り渡したことと、イエスを死刑にしたことは正に同じだとユダヤ最高評議会に対して大胆に語っています(使徒7-9~18)。

 

ヨセフは父ヤコブから寵愛を受けていたため、兄たちに妬まれ奴隷として売り渡しましたが、イエスは、神を父と呼んだことをユダヤ人達に妬まれ、売り渡されました。 

     

つまり、ユダがイエスの予型であるヨセフを売り渡した構図が、約1500年後にユダによって完全再現されているということです。

 

それは旧約聖書の民であるユダヤ人達に、イエスがメシア即ち「救い主」であることを指し示す為でした。

 

自らがイエスを救い主であると再現しながら、キリストを救いと認めなかったのは、強烈な皮肉ですね。
    
私は、旧約聖書の縮図であるイエスが、ユダの町に住むユダを、自らを宣べ伝える使徒として任命したのは偶然ではないと考えます。

 

彼に何か神の計画を感じ取ったのでしょう。おそらくは、12使徒選抜の前日の徹夜の祈りの中で確信が与えられたものと思います(ルカ6-12)。

 

もちろん、イエスはユダが裏切るとは分かっていました。

 

しかしその先に、彼が知らずに体現していたメシア預言をなぞった行動が、自らの証となった未来があったのです。

 

キリストは、その可能性に賭けたのかも知れません。
     

まとめ

考察①ユダは使徒集団の中で、実はNO.2であったと考えられる。

考察②ユダは神に救われたのではなく、自分で自分を救おうとしたものと考えられる。

考察③ユダの使徒としての真価は、イエスを裏切った後にあったものと考えられる。

 

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