『完全網羅』キリスト教伝道者が新約聖書すべての書をなるべく簡単に解説します。
こんにちは、来栖川クリスです。
今回は新約聖書の内容をキリスト教伝道者がしっかりと解説していきます。
本記事は新約聖書に収録されている書を、一つ一つ取り上げて簡単に紹介するものです。
どのような書が収録され、どのようなことが書かれているのかを簡単に概観できる内容となっております。
新約聖書には様々な書が集録されており、得られる情報は多種多様です。
この記事では膨大な情報の中から自分のニーズに合わせて読めるように、新約27巻すべての書の簡単な概要と難易度を、集録順に列挙いたしました。是非ご利用ください。
難易度は私の体感を★の数で表しています。最大★10個で、★1つ分で漫画、★★2つ分で小説ぐらいのイメージです。
「目次」
41.マタイによる福音書
42.マルコによる福音書
43.ルカによる福音書
44.ヨハネによる福音書
45.ローマの信徒への手紙
46.コリントの信徒への手紙一
47.コリントの信徒への手紙二
48.ガラテヤの信徒への手紙
49.エフェソの信徒への手紙
50.フィリピの信徒への手紙
51.コロサイの信徒への手紙
54.テモテへの手紙一
55.テモテへの手紙二
56.テトスへの手紙
57.フィレモンへの手紙
58.ヘブライ人への手紙
59.ヤコブの手紙
60.ペトロの手紙一
61.ペトロの手紙二
62.ヨハネの手紙一
63.ヨハネの手紙二
64.ヨハネの手紙三
65.ユダの手紙
66.ヨハネの黙示録
「ご紹介」
新約聖書
旧約聖書で結ばれた神と人との旧い契約と対比して、キリストが締結した新しい契約を「新約」と言います。神と人類との7つ目の契約であり、神の人類救済を成就させる聖書の中で最も重要な契約です。この新約を契機に示された神の啓示をまとめたものを、新約聖書と言います。
福音書
「福音」とは「良い知らせ」という意味で、英語では「gospel」と言います。神の人類救済計画を成就させる救い主、「イエスキリストの到来」を表す言葉です。そして「福音書」とは、イエスキリストの生涯を記録したものを差します。
計4つの福音書が書かれていますが、それぞれ筆者が異なります。基本的には同じイエスの言行録が記されているのですが、筆者はそれぞれ想定している読者に合わせて、異なる強調点でイエスが「救い主」であることを示しています。
イエスが救い主であることを論証するにあたって、旧約聖書が背景となっているので、基本旧約聖書の予備知識が必要です。度々旧約聖書を開きながら読むのが良いでしょう。 旧約聖書の内容をある程度理解して福音書を読めば、創世記より記されてきた神と人との6つの救いの契約、預言等の様々な伏線に示されてきたものが、イエスキリストの事を指さしていたのだと知ることができると思います。
しかし初見殺しなのが、旧約聖書の知識以外に、当時のユダヤ教に関する知識が少々要求されるところです。イエスの教えの多くは、ユダヤ教の指導者である律法学者達への反論を通して展開されているので、当時のユダヤ教の知識が無ければ、どうしても分からないところがでてきます。ですからイエスの教えの意味を正確に知りたい人は、よく背景知識を学んでから読む努力が必要です。
全ての福音書は、人類の救いを示すキリストの「十字架」という一つのゴールに向かって構成されています。キリストの十字架をもって新しい契約は締結されたので、新約聖書を読むうえで福音書は必読書です。神の人類救済そのものが記されている書なので、聖書の中心と言えるでしょう。
福音書を読み飛ばしてしまうとそれ以降の背景が全く分からなるどころか、聖書を読む意味すら失ってしまいます。 聖書の中で最も重要な書なので、是非頑張って読んでみてください。
40.マタイの福音書
この書は契約の民イスラエル民族、即ちユダヤ人に向けて書かれており、前書きとして「イエスの系図」が記されています。この系図はイエスがどの様な出自であるかを示すことによって、イエスはユダヤ人達が待ち望んでいた王であるという事が強調されています。
この書は、イエスキリストが「預言の成就」であると論証することに強調点がありますので、旧約聖書からの引用が最も多い福音書です。4つの福音書の中で最も難易度が高く、ある程度旧約聖書の理解を要求する内容となっておりますので、最初に読む福音書としては、あまりお勧めできません。
難易度★★★★★(旧約聖書、特に預言書の理解、当時のユダヤ教に関する理解が要求されるのでこの難易度設定)
41.マルコの福音書
世界の救い主、イエスキリストの言行録。
この書には他の福音書のようにまどろっこしい前置きは無く、即イエスキリストの人生から記されています。特徴として、イエスキリストの教えよりも、行動が強調されており、人類を救う為に絶対に行われなければならなかった、キリストの十字架刑に焦点が当てられています。
キリストが救い主として、人類の救いの為にどの様な行動とったのかを手っ取り早く見ることができるので、福音書の中では割とわかりやすいと思います。
難易度★★★(旧約聖書、及び当時のユダヤ教に関する理解が少しだけあれば、ニュアンスはつかめるかなと思いこの難易度設定)
42.ルカの福音書
キリスト教成立の歴史。
この書は当時の有力者に向けて、キリストの人生の記録が公文書として記されています。要は、お偉いさんに向けてキリストは何をして、どの様なことを触れ回ったのかを順序正しく、時系列順で歴史書のように記録しているという事です。
特徴としては、イエスキリストこそ理想的な人間であることが強調されていて、キリストの人間性に焦点が当てられています。全福音書の中で最も多くの情報が時間順に書かれているので、キリストの人生を詳細に網羅したい人にオススメです。
難易度★★★★(旧約聖書、及び当時のユダヤ教に関する理解が要求されるのでこの難易度設定)
43.ヨハネの福音書
信じる者の救い主、イエスキリストの言行録。
この書にはイエスキリストの生涯が詩的表現で描かれています。特徴として、キリストの教えと奇跡に焦点が当てられていて、イエスキリストが「神である」ことを論証することに強調点があります。
福音書の中では最後に書かれたものであり、他の3つの福音書が書き漏らしたことが
記されています。神学的要素が強く、信徒向けに書かれているので初心者には少しだけ難しいと思います。
難易度★★★★★(旧約聖書、及び当時のユダヤ教教理に関する理解が要求されるのでこの難易度設定)
44.使徒の働き
キリスト教発展の歴史。
キリストの死後、約30年後のキリストの使徒たちの言行録を通して、キリスト教の発展の歴史が詳細に記録されています。ルカの福音書の続編にあたる書であり、ローマ帝国に対してキリスト教が反権力的な宗教でない事を証明する為に書かれました。また、ローマの獄中にいた使徒パウロが無罪であることを証明する為に用いられた裁判資料でもあります。
難易度★★★★★(福音書の理解、紀元1世紀のローマの土地勘が要求されるので、やや高い難易度設定)
パウロ書簡
45~57はキリストの使徒パウロの教会へ書き送った手紙で、パウロ書簡と言います。使徒パウロは、キリストにつき従った所謂12使徒ではなく、キリストの死後特別に任命された使徒です。12使徒がユダヤ人に遣わされたのに対して、パウロは非ユダヤ人に対して福音を伝えるように遣わされました。
当時キリスト教が広まりつつあったイスラエルの宗主国、ローマ帝国内のそれぞれの地域にある教会へ向けた励ましと、具体的なアドバイスが記されています。全て使徒の働きが時代背景となっております。
キリストの教えに基づいて、様々な励ましやアドバイスが述べられているので、キリスト教の教えとは何かを分かりやすく、手っ取り早く理解したい人にオススメです。
キリスト教の教えは、基本的にユダヤ教やギリシャ哲学などのキリストの教えとは相反する考え方への反論を通して発展しているので、手紙のほとんどの内容が護教的なものとなっています。もちろん励ましや奨励の言葉などのポジティブな要素も大いにありますが、前提にあるのは異教に対する警戒感です。そのことを知っていると少しだけ読みやすくなると思います。
45.ローマ人への手紙
ローマにある教会に向けた助言。
ローマ帝国内の複数の教会に宛てられた手紙です。当時教会の大多数を占めていたユダヤ人と非ユダヤ人とのいさかい対しての助言がなされています。神に選ばれた契約の選民ユダヤ人の、非ユダヤ人に対して優越性を主張する態度に対して、ユダヤ人である使徒パウロが様々な角度から反論しています。
パウロ書簡の中で最も読まれ、最も多種多様なテーマが取り扱われているのも特徴の1つです。
キリストの教えに基づいて、「教会とは何か」が教えられ、「真の平和とは何か」という普遍的なテーマに発展していく構造となっております。
難易度★★★★(旧約聖書の理解、福音書の理解、紀元1世紀のキリスト教を取り巻く背景知識、ローマにある教会の問題に対する理解を要求されるので、この難易度設定)
46.コリント人への手紙第一
コリント教会の信徒に向けた罪の叱責。
ローマ帝国にある町コリントにある特定の教会に向けて書かれた手紙です。コリントという町はローマ帝国内において、堕落を象徴する町として知られていました。東京でいうところの新宿や五反田と言ったところでしょうか。欲望渦巻く町の、 様々な問題を抱えていた教会に対して、使徒パウロが教会内の問題を1つ1つ取り上げて罪を叱責しています。
キリストの教えに基づいて、「信徒が罪に対してどのように対処するべきか」が教えられている書です。
難易度★★★★(旧約聖書の理解、福音書の理解、紀元1世紀のキリスト教を取り巻く背景知識、コリントにある教会の問題に対する理解を要求されるので、この難易度設定)
47.コリント人への手紙第二
コリント教会に向けた追加の助言。
第一の手紙の内容を受けて一定の改善があったことに対する賛辞が呈されているのと、未だ改善されていない罪に対しての叱責が記されています。またパウロを疑う者も多くいたので、自身の擁護も、叱責と同時に書かれているのが特徴です。
難易度★★★★(旧約聖書の理解、福音書の理解、紀元1世紀のキリスト教を取り巻く背景知識、コリント人への手紙第一の理解を要求されるので、この難易度設定)
48.ガラテヤ人への手紙
ガラテヤにある教会に向けた助言。
ローマ帝国のガラテヤ地方、現トルコ地方にある教会に宛てられた手紙です。当時の教会にあった様々な普遍的問題を取り扱われていますが、中心的なテーマは「救いの方法」です。
キリストの教えに基づいて、「人はどのようにして救いを得ることができるのか」が教えられています。
難易度★★★★(旧約聖書の理解、福音書の理解、紀元1世紀のキリスト教を取り巻く背景知識、ガラテヤにある教会の問題に対する理解を要求されるので、この難易度設定)
49.エペソ人への手紙
エペソにある教会に向けた助言。
ローマ帝国の大都市エペソにある教会に宛てられた手紙です。複数の教会に宛てられているため、様々なテーマが取り扱われていますが、中心的なテーマは「教会とは何か」ということです。
キリストの教えに基づいて、人と人が真に調和する為にはどのような自己認識を持つべきかが教えられています。
難易度★★★★(旧約聖書の理解、福音書の理解、紀元1世紀のキリスト教を取り巻く背景知識、エペソにある教会の問題に対する理解を要求されるので、この難易度設定)
50.ピリピ人への手紙
ピリピにある教会に向けた助言。
ローマ帝国の植民都市ピリピにある教会に宛てられた手紙です。この手紙には護教的な要素はほとんどなく、「神を信じる者の特権」が確認されています。
キリストの教えに基づいて、神を信じる生き方における喜びが教えられている書です。
難易度★★★★(旧約聖書の理解、福音書の理解、紀元1世紀のキリスト教を取り巻く背景知識を要求されるので、この難易度設定)
51.コロサイ人への手紙
コロサイにある教会に向けた助言。
ローマ帝国の都市コロサイにある特定の教会に宛てられた手紙です。当時ローマ世界に流行っていた哲学「グノーシス主義」に対して警鐘を鳴らす目的で書かれた手紙です。
グノーシス主義とは物質を悪捉えて現実を否定し、目に見えない精神世界こそ善であるとして物事を発想し、精神世界の知恵を極めることによって救いを求めていく哲学思想で、ギリシャ哲学が根付いた地域において、ローマの圧政の中から生まれた考え方であると言われています。
ローマ世界にキリスト教が広がっていくにあたり、グノーシス主義に基づいて キリストという実在人物を精神概念化して教えを解釈するものが後を絶ちませんでした。故にこの手紙は護教的な要素が強いので、キリスト教教理の確認がメインテーマです。
キリストの教えに基づいて、 所謂「クリスチャンが何を信じているのか」が確認されています。
難易度★★★★★(旧約聖書の理解、福音書の理解、紀元1世紀のキリスト教を取り巻く背景知識、コロサイにある教会の問題に対する理解を要求されるので、この難易度設定)
52.テサロニケ人への手紙第一
テサロニケにある教会に向けた助言。
ローマ帝国の自由都市テサロニケにある教会に宛てられた手紙です。この町にはユダヤ人が多く住んでいたので、信徒はユダヤ教による迫害の影響を強く受けていました。パウロ自身もこの地を訪れた際にユダヤ人達の激しい迫害を受けてすぐに立ち去らねばならないほどでした。
日々迫害に晒されているこの地の教会の人々に対して、パウロは言い残したこととして、「神を信じる者に与えられた希望」を確認し、励ましています。
キリストの教えに基づいて、「神を信じる者の死生観」が教えられている書です。
難易度★★★★★(旧約聖書の理解、福音書の理解、紀元1世紀のキリスト教を取り巻く背景の理解、キリスト教教理における終末論に関する理解を要求されるので、この難易度設定)
53.テサロニケ人への手紙第二
テサロニケ人への手紙第一の補足。
迫害がさらに激しくなるテサロニケ教会に対して、更なる励ましと、第一の手紙で教えられた内容の補足が記されています。第一で記されたパウロの教えを誤解して解釈するものがいたためにこの手紙は書かれました。
難易度★★★★★(旧約聖書の理解、福音書の理解、紀元1世紀のキリスト教を取り巻く背景知識、キリスト教教理における終末論に関する理解、テサロニケ人への手紙第一の理解を要求されるので、この難易度設定)
牧会書簡
54~56までは使徒パウロが教会の牧師個人に向けて書き送った手紙で、牧会書簡と言います。牧師個人に対する激励の言葉と、教会内の種々の問題に対して具体的なアドバイスが記されています。
主に牧師や伝道者などが読むべき内容となっております。
54.テモテへの手紙第一
牧会者テモテへの助言。
大都市エペソにある教会を任されることになったテモテという人物に対して、使徒パウロの励ましと助言が記されています。
当時流行っていた哲学に対してどう反論するか、教会の指導者としての資格とは何か、プライベートの生活に対しての注意など 教会内における様々なテーマが扱われています。
キリストの教えに基づいて、「聖書的リーダーシップとは何か」が教えられている書です。
難易度★★★★★(旧約聖書の理解、福音書の理解、紀元1世紀のキリストの教を取り巻く背景知識、エペソにある教会の問題に対する理解を要求されるので、この難易度設定)
55.テモテへの手紙第二
テモテへの離別の手紙。
当時ローマの獄中にいたパウロから、テモテに対して処刑直前に書かれた最後の手紙です。テモテに持てる知識全てを振り絞って、教会のリーダーとしての助言が記されています。自らに差し迫る死を悟りながら、第一の手紙に引き続き、教会内おける種々の具体的なアドバイスが記されています。
難易度★★★★★(旧約聖書の理解、福音書の理解、紀元1世紀のキリストの教を取り巻く背景知識が要求されるので、この難易度設定)
56.テトスへの手紙
牧会者テトスへの助言。
地中海に浮かぶ島、クレタ島にある教会を任されたテトスという人物に対して、使徒パウロの励ましと助言が記されています。クレタ島の住民に対して警告や、ユダヤ教に対してどのように対応するべきか等、教会内における種々の具体的なアドバイスが記されています。
キリストの教えに基づいて、「教会のリーダーとしての最低限の資格とは何か」が教えられている書です。
難易度★★★★★(旧約聖書の理解、福音書の理解、紀元1世紀のキリストの教を取り巻く背景知識、クレタ島にある教会の問題に対する理解を要求されるので、この難易度設定)
57.ピレモンへの手紙
逃亡奴隷オネシモに関するピレモンへの懇願。
コロサイ教会の有力者ピレモンの元を逃げてきた奴隷オネシモを、再び受け入れてもらうように懇願する内容です。
キリストの教えに基づいて、「権力や財の用い方」が教えられています。
難易度★★★(最低限ピレモンとオネシモとの関係性を理解していれば言わんとしていることは分かるのかなと思い、この難易度設定)
メシアニックジュー書簡
58~61まで、飛んで65は、主に12使徒たちが、キリストを信じるユダヤ人達、即ち「メシアニックジュー」に書き送った手紙でメシアニックジュー書簡と言います。キリスト教に対する激しい迫害の受けて、ユダヤ教に立ち戻ろうとする者たちに励ましと勧告がなされています。
ユダヤ人達に書き送られているため、旧約聖書の知識がある程度要求される内容となっております。
58.へブル人への手紙
旧約よりも新約の方が勝っていることの論証。
旧約聖書の祭儀法や登場人物などを通して、福音及びキリストの優位性が論証されています。
旧約聖書的の背景知識を要求されるメシアニックジュー書簡の中で、最も知識が要求される書なので、聖書初心者には難しいでしょう。
キリストの教えに基づいて、「 旧約聖書の正しい理解」を学ぶことができます。
難易度★★★★★★★(旧約聖書、特にレビ記に関する深い造詣、福音書の理解、紀元1世紀のユダヤ教、キリスト教を取り巻く背景知識が要求されるので、高い難易度設定)
59.ヤコブの手紙
神を信じる者の行いを教えた手紙。
当時教会のリーダー的存在であったキリストの実弟ヤコブが、同胞のイスラエル12部族、即ちユダヤ人達に対して書き送った手紙です。信者の模範的行動を示すことにより、キリスト教を信じることは、ユダヤ教を信じることに勝ってることを論証しています。
ユダヤ教に立ち返ろうとしている 同胞に対して、ユダヤ教に回帰するのであれば、その612の戒律を余すところなく守って見せよ、いや、すべて守り行えて当然だよね?と皮肉交じりに教えているのが特徴的です。
キリストの教えに基づいて、「信仰者が行うべきこととは何か」を学ぶことができます。
難易度★★★★★★★(旧約聖書への深い造詣、福音書の理解、紀元1世紀のユダヤ教、キリストの教を取り巻く背景知識が要求されるので、高い難易度設定)
60.ペテロの手紙第一
キリストの12使徒ペテロによる励まし。
紀元64年10月から始まった、ローマ皇帝の暴君と知られるネロの、キリスト教大迫害の直後に、信徒を励ます為に書かれた手紙です。激しい迫害に晒される中で、キリストを信じるものに与えられた希望が確認されています。
キリストの教えに基づいて、「神を信じる者の人生観」を学ぶことができる書です。
難易度★★★★★★★(旧約聖書への深い造詣、福音書の理解、紀元1世紀のユダヤ教、キリスト教を取り巻く背景知識が要求されるので、高い難易度設定)
61.ペテロの手紙第二
キリストの12使徒ペテロによる警告。
第一の手紙から数年後に書かれた手紙で、キリスト教に反対する教えに対して、旧約聖書を例を挙げて信徒に警告がなされています。
使徒ペテロが処刑される4年以内に書かれたものであり、行間から迫害が差し迫ってきていることを感じ取れる大変臨場感のある書です。
難易度★★★★★★★(旧約聖書への深い造詣、福音書の理解、紀元1世紀のユダヤ教、キリスト教を取り巻く背景知識が要求されるので、高い難易度設定)
62.ヨハネの手紙第一
ローマ帝国アジア州にある複数の教会に対して、 キリストの12使徒ヨハネによるキリスト教に反対する哲学思想に対しての反論が記されています。
当時ローマ世界に流行っていた哲学「グノーシス主義」に対して反論する目的で書かれた手紙です。 グノーシス主義とは物質を悪捉えて現実を否定し、目に見えない精神世界こそ善であるとして物事を発想し、精神世界の知恵を極めることによって救いを求めていく哲学思想で、ギリシャ哲学が根付いた地域において、ローマの圧政の中から生まれた考え方であると言われています。
ローマ世界にキリスト教が広がっていくにあたり、グノーシス主義に基づいて キリストという実在人物を精神概念化して教えを解釈するものが後を絶ちませんでした。
筆者である使徒ヨハネは対比厨なので、この手紙はキリストの教えが「光と闇」「愛と憎しみ」「真理と偽り」という3つの対比で詩的に表現されています。
キリスト教教理を流麗な詩によって学ぶことができる書です。
難易度★★★★★★(旧約聖書の理解、福音書の理解、紀元1世紀のキリスト教を取り巻く背景知識が要求されるので、この難易度設定)
63.ヨハネの手紙第二
第一の手紙同様にグノーシス主義に対して警告されています。キリストという存在を、精神的概念に変えようとするグノーシス主義の考え方に引いて行かれないように、キリストの教え、及び使徒たちの教えという真理に留まるように勧めています。
難易度★★★★★★(旧約聖書への深い造詣、福音書の理解、紀元1世紀のユダヤ教、キリスト教を取り巻く背景知識が要求されるので、この難易度設定)
64.ヨハネの手紙第三
アジア州にある教会の指導者ガイオに対して、使徒ヨハネが具体的なアドバイスをしている手紙です。
キリストの教えを私利私欲の為に利用していた、同じ教会の指導者ディオテレペスに対しての対応策が記されています。「クリスチャンの集団意識」を見て取ることができる手紙です。
難易度★★★★(必要な背景知識は、ほぼこの書に書かれていることだけで事足りるし、ボリュームもほぼないですが、基本的には信徒向けの書なのでこの難易度設定)
65.ユダの手紙
神への不信仰に対する警告。
この手紙の著者は不明ですが、内容から察するに、旧約聖書に精通したユダヤ人が、迫害によって散らされたキリストを信じる同胞に向けて書いた手紙であることは間違いないでしょう。
旧約聖書に記されている様々な不信仰の例を通して、「偽の教理を教える者たちの末路が如何なるものなのか」を教えている書です。
難易度★★★★★(旧約聖書への深い造詣、福音書の理解、旧約偽典の知識、紀元1世紀のユダヤ教、キリスト教を取り巻く背景知識が要求されますが、ボリュームが無いのでこの難易度設定)
黙示文学書
黙示文学書とは、特殊な文書形式をとり、宗教の秘儀や奥義などを書き記したものを指します。
聖書の中の黙示文学書では、筆者が感じた神からのメッセージが、様々な象徴的表現で記されています。
預言書は神からのメッセージを韻文の形式で書いていますが、黙示文学書は韻文ではなく、散文で書かれているのが特徴です。
解釈が多岐にわたり教会内においても論争が絶えない書であり、書かれている象徴表現を読み解くには、聖書への深い造詣と古文書を読み解く高いセンスが必要になります。
聖書では「ヨハネの黙示録」「エゼキエル書(37章~48章迄)」「ゼカリヤ書(1章7節~7章8節迄)」が黙示文学書に該当します。
66.ヨハネの黙示録
旧新約聖書で神から示されてきた預言的メッセージが時系列順に並べられ、改めて記録されています。
今まで聖書を通して学んできたことすべての答え合わせとなる書と言えるでしょう。
書かれている象徴的表現のほとんどが旧約聖書、特に預言書からの引用であり、旧約聖書に記されているすべての啓示を理解している前提で記されているのが特徴です。
神の人類救済計画の未来が展望されていて、「イスラエル、及び全世界に下る裁き(6~18章)」、「キリストの再臨(19章)」、「罪と死の決着(20書前半)」、「人類歴史の完成(20章前半)」、「人類への裁きの成就(20章後半)」「永遠の成就(21~22章)」等旧約聖書が示してきた伏線がすべて回収される書です。
ヨハネの黙示録には神と人類との約束である8つの契約の内、8つの契約「御国の契約」の成就(20章4節)が記されており、救い主イエスキリストと神を信じる者たちによる理想的な世界の到来が示されています。
難易度★★★★★★★★★★(聖書全体、特に預言書への深い造詣が要求される点、黙示文学という文書の性質などを考慮して、最高難易度設定)
以上です。読むときの参考にしていただきたいと願います。
「ご紹介」
1.サムネイルの絵
サムネイルの絵のタイトルは、新約曼荼羅(しんやくまんだら)です。
曼荼羅(まんだら)とは、チベット密教等の教理体系を模式的に示した円図形のことをいいますが、この図には新約聖書の教理が見える化されています。
新約聖書は、歴史書として位置付けるのであれば人類歴史がどの様に終わりに向かっていくのかを記している書と言えるでしょう。
歴史書として読めば、旧約聖書に記されてきた、人類に与えられた「祝福」のゆくえ、人類の「罪」のゆくえ、人類の罪故に生じてしまった「呪い」のゆくえ、などの様々な要素の伏線を、十字架を機にキリストが回収して行く様を見て取ることができます。
この絵を注意深く見ていただければ、その様なキリスト教教理の終末論、即ち聖書の示す人類歴史がどの様な決着を見るのか理解できるようになっています。
新約聖書を読む際の助けとなれば幸いです。
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